はじめに|「行動できない自分」を責め続けてきた人へ
「やった方がいいのは分かっているのに、どうしても動けない」
「気づけば時間だけが過ぎて、また同じところにいる」
「このままでいいわけじゃないのに…」
こうした言葉は、コーチングの現場で何度も耳にしてきました。
そして多くの人が、最後にこう付け加えます。
「結局、自分の意志が弱いんですよね」
ですが、ここではっきりさせておきたいことがあります。
行動できないのは、意志の問題ではありません。
心理学とコーチングの視点で見ると、
行動できない状態には必ず「構造的な理由」が存在します。
この記事では、
「なぜ人は行動できなくなるのか」を
感情・思考・脳の仕組み・自己信頼の観点から分解し、
行動が自然に生まれる状態とは何かを丁寧に解説していきます。
行動できない人が無意識に信じている3つの誤解
誤解①|やる気が出れば行動できる
多くの人が「やる気が出たらやろう」と考えます。
しかし実際の順番は逆です。
行動 → 感情 → やる気
小さく動いた結果、感情が変わり、やる気が生まれます。
やる気を待っている限り、行動は始まりません。
誤解②|行動できないのは性格のせい
「自分は慎重すぎるから」
「もともと行動力がないタイプだから」
そう思っている人は多いですが、
行動できない原因は性格ではなく
思考・感情・環境の組み合わせです。
構造が変われば、行動も変わります。
誤解③|考えすぎているから動けない
実は多くの場合、
考えすぎているのではなく
感情が整理されていないだけです。
行動を止めているのは、思考ではなく感情です。
行動できない理由①|脳は「変化=危険」と判断する
人の脳は本能的に
現状維持を安全、変化を危険と判断します。この機能を「ホメオスタシス」と言います。
新しい行動を取ろうとした瞬間に
不安・緊張・違和感が出るのは、
脳が「あなたを守ろう」としている正常反応です。
例えば、サウナに入ると暑いですよね。そうすると段々汗をかいてきます。そうやって体は暑さに勝手に対応して体温を維持しようと汗をかくようになっています。サウナに入って暑いからといって体温が39℃になることはないですよね!?
それぐらい現状を維持する(ホメオスタシス)は強力な力なんです。
つまり、行動できないのは
怠けているからではなく
生存本能が働いているから。
行動できない理由②|過去の失敗体験がブレーキになる
過去に
- うまくいかなかった
- 否定された
- 笑われた
こうした体験があると、
脳は「同じ痛みを避けよう」とします。
本人が忘れていても、
感情の記憶は残り続けます。
これはサボりではなく
自己防衛反応です。
行動できない理由③|目的が「他人基準」になっている
「やった方がいい」
「普通はこうする」
「期待に応えなきゃ」
この状態では、行動エネルギーは生まれません。他人軸での価値観では「しなければならない」になってしまいます。
人が動けるのは、
自分の価値観とつながった時だけです。
行動できない理由④|感情を置き去りにしている
多くの人は
「正しい選択」をしようとします。これも他人軸な価値観と似ていますが、「良い」「悪い」で判断してしまします。
しかし人は、
納得していないことには動けません。
疲れている
怖い
虚しい
不安がある
これらを無視すると、心がブレーキをかけます。
行動できない理由⑤|自己信頼が下がっている
「どうせ続かない」
「またできないかも」
これは能力不足ではなく、
自分との約束を何度も破ってきた結果です。
自己信頼が下がると、
人は無意識に行動を避けます。
コーチング現場で実際に起きていること
コーチングで最初にやるのは
「行動させること」ではありません。
- 感情を言語化する
- 思考の前提を疑う
- 本人の価値観を明確にする
このプロセスを通ると、
多くの人は「勝手に」動き始めます。
まず、「感情を言語化」する事により、思考が自分軸へと移動していきます。私はどう感じていたのか?それをコーチとともに共有することで、私ってこう感じていたのね!って腹落ちしてきます。
そして今までずっと「他人軸の思考」を続けていたことに気がつくのです。「みんなそういっている」「常識や当たり前」「こう言われて育った」などなど自分の価値観と思っていたことは実は、他人の価値観だった事に気が付きます。
最後に改めて「自分の価値観」(フルフィルメント)をコーチとともに話していきます。実はそれまでの間にご自身で言葉としてお話になっていることが多いのですが、ここまできた時にコーチからズバッと一言言わせてもらうことが多くなります。
なので行動は結果であって、目的ではありません。勝手に行動してしまうようになるのです。
行動できる人が実はやっていないこと
- 自分を責めない
- 気合いで動こうとしない
- 完璧を求めない
代わりに
自分が動ける条件を整えているだけです。
行動できる人は、やりながら正解の方向を探していきます。最速で失敗することや小さな失敗を繰り返すことで次の行動に繋がるからです。
失敗して当たり前。完璧でなくていい。やりながらよくしていこう。その環境を整えていくだけで自然と行動が速くなります。
行動するために「やらなくていいこと」
- 自己否定
- 他人との比較
- いきなり大きな目標設定
これらはすべて、行動の敵です。「サボタージュ」といって「でも・・・」「だって・・・」という話が出てきたらそれを一旦横に置いてありのままの自分を見つめ直します。
これは誰しも持っているもので悪いものではありません。ただ本来のあなたの姿を曇らせてしまうことが多いので、その気持ちを受け入れて、それを持った上で「本当はどうしたいのか?」を見つめていくことが必要になります。
大きすぎる目標も悪いことではありません。しかし、それがしっかりその道筋にある目標なのか、突拍子もないものなのかは判断しないといけません。
予想を超える目標は「挑戦」としてコーチから提案することがあります。特に私のコーチングでは「挑戦」がとても好きなのでここをお話しすることがよくありますが、その挑戦からご自身が導き出す目標が何よりあなたにとって最適な目標となるのです。
今日からできる具体的3ステップ
① 行動ではなく感情を書く
「なぜ動けないのか」を感情で言語化。
② 行動を1分単位に分解
やる気不要なレベルまで下げる。
③ できたことだけを記録
自己信頼を回復させる。
行動とは「自分を信じ直すプロセス」
行動できるようになるとは、
強くなることではありません。
自分を理解し、信頼し直すこと。
そこから行動は自然に生まれます。
最後に
もし
「ひとりでは整理しきれない」
「頭と感情が噛み合わない」
そう感じているなら、
コーチングで一緒に構造を整理する時間を使ってみてください。
👉 詳細はこちら
行動できない理由は、
直すものではなく、
理解すればほどけるものです。
ここまで読んでくれてありがとうございます。


コメント